ミラクルソル軽量盛土工法

FWG軽量盛土工法
FWG軽量混合盛土工法

特徴

  • 廃ガラスを再資源化した製品であるため、熱や薬品によって溶解することがなく、無腐食性のため、地盤や地下水に対して悪影響がない。

  • 比重を0.4〜1.5に調整できるため、地盤条件に応じて比重を選定できる。

  • 独立間隙構造のため非吸水性であり透水係数は1.19×100p/s(比重0.4)のため、降雨による重量の増加がない。

  • 盛土施工時には大型機械を必要とせず、敷き均し・転圧等の施工が容易で作業性が良い。

  • 盛土施工後の地下埋設物に対しても容易に対応できる。

  • 現地発生土との混合により、単位質量を任意に変えることができる。



比重0.4のミラクルソルの特徴


  • ミラクルソルは締固めエネルギーの変化により、粒度分布・乾燥密度が変化する。これは、締固めエネルギーが大きくなるほど破砕が生じ、乾燥密度が大きくなるためである。

  • 締固めエネルギーが大きくなると、CBR値およびも大きくなる傾向にある。



締固めエネルギーおよび乾燥密度とCBRの関係 締固めエネルギーおよび乾燥密度との関係


実証試験施工手順


  • 比重0.4のミラクルソルについて軽量盛土材と路床材としての適用性を調べるための実証試験を行った。
ミラクルソルの敷き均し状況
ミラクルソルのまき出し状況
ミラクルソルの転圧状況
  • 実証試験時に任意に6点を選び、振動ローラ(4t)で締固め後、レベル(水準儀)により高さを測定し、敷均し厚と締固め厚の変化より乾燥密度の推定を行った。まき出し厚25cmで、締固め厚を20cmに、6層にわたり締固めを行った。転圧回数が大きいほど破砕が生じ乾燥密度が大きくなるため、機械の選定・締固め回数に注意する。


施工例


1)斜面におけるFWG軽量盛土工法の施工例
 急傾斜地で、降雨により崩壊した地盤についてミラクルソルを用いた軽量盛土工法の検討を行った。降雨による斜面の崩壊により、斜面上部の家屋床下が露出するほど地盤が崩壊し危険な状態で、斜面長約20m下方の家屋には、斜面上部の崩壊による土砂や落石が小規模な土石流となり堆積しているのが確認された。そのため、斜面上方の宅地基礎部の補強と斜面の復旧と安定を図ることを目的としてミラクルソルによるFWG軽量盛土工法により設計を行った。
 流用土とミラクルソルの各々について盛土を行った場合の解析結果を示す。計画断面図の形状で盛土をした場合、流用土では擁壁、すべりに対して不安定な結果となるが、ミラクルソルを用いた場合は擁壁の安定、すべりに対して安全率を上回る結果が得られたため、軽量で現地盤よりも大きな強度を持った材料であるミラクルソルによる軽量盛土工法を選定した。
  1. 当地は降雨時に地下水が集中しやすい地形であるため、透水係数の大きなミラクルソルで盛土をすることにより、地下水の早期排水効果が期待できる。
  2. 盛土施工後、プレキャスト法枠工で斜面保護をし、枠内を緑化するために植生工を行う。盛土材はミラクルソルの独立間隙を用いるため植生工には連続間隙構造の保水材を混合した土のうによる植生基盤を設ける。
  3. 土のうの中詰として、マサ土と保水材である連続間隙を有するミラクルソルを8:2の割合で用いた。
  4. 土留擁壁は、ミラクルソルを盛土材として用いることにより、断面積で約2/3スリム化することができた。


施工のフローチャート


施工後
ミラクルソルの敷き均し状況 ミラクルソルの転圧状況


2)歩道新設のためのFWG軽量盛土工法の施工例

図に示すように歩道新設による道路拡幅のため、高さ1.30mの樋管上部にL型擁壁が計画された。地盤反力の増加を抑えることができ樋管への影響を少なくすることを主目的として、軽量盛土工法により検討する。軽量盛土材料として、ミラクルソルおよび発泡スチロール材による検討を行った。
  1.  擁壁の仮想背面に働く土圧を発泡スチロール材で置換した場合、発泡スチロール材はブロック状であるため、図の淡灰色部分で、旧地盤面に沿って施工される。しかし、L型擁壁の仮想背面に働く土圧は、一点鎖線のθ=60°の角度で働くので、粒状のミラクルソルによって盛土する場合は斜線部の面積でよい。したがって、ミラクルソルを使用すると、発泡スチロール材の約2/3の数量でよく、省資源になる。

  2.  ミラクルソルの比重は0.4、発泡スチロール材の比重は0.02である。これより最大地盤反力を比較すると、それぞれ108.0kN/m2と97.60kN/m2になり、ミラクルソルを使用した方が約10.0kN/m2程度大きくなる。既設樋管の下部に施工されている基礎杭の許容応力Ra=323kN/本に対して、それぞれ310kN/本、300kN/本となり、許容応力を満足する。

  3.  施工性について、発泡スチロール材の場合は人力により積み重ね、接合をしていく作業が必要であるのに対し、ミラクルソルの場合は、フレコンバックから直接投入し締固めを行うので施工性が良いため工事費が安価である。また、発泡スチロール材は、熱や薬品・油脂等に弱く、将来廃棄物になる可能性がある。

これらのことから、ミラクルソルを用いたFWG軽量盛土工法により施工を行った。
 
最上部の締固め状態


3)橋台背面のFWG軽量盛土施工例




その他の施工例


  • ミラクルソルによるFWG軽量盛土工法の他に、地盤条件により現地発生土や新規土と混合した、FWG軽量混合盛土工法により軽量化することができる。

  • 軽量ブロック擁壁をスリム化し、永久アンカーとの併用により転倒・滑動に対して抑止できる。